【訪問看護師と二人三脚】パーキンソン病でもいつまでも自宅で生活したい!自宅で取り組む安心リハビリ
「パーキンソン病と診断されたけど、住み慣れた家で自分らしく過ごしたい」―――そう願う方は少なくありません。訪問看護は、そんなあなたの思いを支える強い見方です。
この記事では、自宅で安心してリハビリに取り組むためのヒントを、次の4つの視点からご紹介します。
- 訪問看護師との連携
- 継続できる運動習慣
- 症状への具体的な対応
- 安心な住宅環境の工夫

服薬も安心!訪問看護師との連携で治療をスムーズに
パーキンソン病の治療には、薬の服薬が欠かせません。しかし、複数の薬を決まった時間に飲み続けるのは、意外と大変です。
そんなときに頼りになるのが訪問看護師。医師の指示に基づき、服薬を安全かつ効果的にサポートします。
- 服薬の状況の確認と記録:飲み忘れや重複を防止
- 服用タイミングの調整:薬の効果が最大限に発揮されるタイミングを一緒に検討
- 副作用の早期発見と報告:体調の変化を注意深く観察し、必要に応じて医師に連携
- ご家族へのサポート:正しい知識を共有し、ご家族も安心して支援できる環境づくり
理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフは訪問看護師と連携することで、服薬に関する不安を軽減し、治療効果を高めることができるでしょう。というのも、リハビリでは実際に立ったり歩いたりなどの日常動作の練習を行いますので、そのときに症状が重くなる時間帯や服薬状況を把握することで、それらの情報を訪問看護師にフィードバックすることができるからです。また、同じ薬であっても長期間服用していると、効果の出かたが変化していきます。リハビリスタッフが定期的に訪問することで、そのような変化があったときいち早く発見し、訪問看護師や主治医へ報告を行うことができます。

無理なく続けられる!ご自宅でできるリハビリ運動
パーキンソン病の進行を緩やかにし、日常生活を快適に保つためには、継続的な運動が不可欠です。理学療法士や作業療法士などが、一人ひとり状態や体力に合わせた運動プランを提案し、一緒に取り組むことができます。
自宅でできる運動例
- ウォーキング:バランス感覚を養い、全身の筋肉を維持します。
- ストレッチ:関節の可動域を広げ、体のこわばりを和らげます(棒体操のようなご自分でできる体操の指導も)。
- 筋力トレーニング:立ち上がりや歩行に必要な筋力を維持・向上させます(椅子からの立ち上がり、かかと上げなど)。
- リズム運動:音楽に合わせて体を動かすことで、動作の円滑さを促します。

リハビリスタッフは、これらの運動の方法や注意点を丁寧に説明し、安全かつ効果的に運動を継続できるようサポートします。パーキンソン病の方は、薬が効いている時間とそうでない時間で症状の出かたが全く違います。リハビリスタッフは、そういったことも考慮しながら運動する時間などを考えることができます。
困った症状も自宅で対応!すくみ足などへの工夫
パーキンソン病の特有の症状である「すくみ足」や「動作の遅さ(寡動)」などは、日常生活を送る上で大きな障害となることがあります。ご自宅でできる対応策を知っておくことで、安心して生活を送ることができます。
すくみ足への対応
- 歩き始める前に、目標物(床の模様や線など)を決め、そこに向かって意識的に一歩を踏み出す。
- メトロノームや音楽のリズムに合わせて歩く。
- 杖を使用する。
- 焦らず、ゆっくりしたペースで歩くことを心がける。
動作の遅さへの対応
- 時間に余裕をもって行動する。
- 衣服や調理器具など、使いやすい工夫がされたものを選ぶ。
- 動作を小さなステップに分け、一つずつ丁寧に行う。
パーキンソン病といっても症状の出かたは人それぞれです。そして、どのような対応策が効果的かも人それぞれです。リハビリスタッフは、患者様の具体的な症状への対応策を患者様やご家族と一緒に考え、実用的なアドバイスを提供します。例えば、杖ひとつにしても一般的な一本杖以外に様々なタイプの杖があります。場合によっては、杖を使うとかえってすくみ足などの症状が出やすくなってしまうこともあります。理学療法士や作業療法士であれば、患者様の症状に合わせてその方に合った杖の選択をアドバイスすることができます。
安心・安全な生活のために!環境設定の工夫
パーキンソン病の方がご自宅で安全に、そして快適に過ごすためには、環境設定も重要なポイントです。リハビリスタッフは、患者様の状態や動作の特性に合わせて、住環境の改善についてアドバイスを行います。
転倒予防
- 床の段差をなくす、または目印をつける。
- 滑りやすいマットやラグは撤去する。
- 手すりを設置する(玄関、廊下、トイレ、浴室など)。
- 足元を照らすフットライトを設置する。
動作のサポート
- 立ち上がりやすい高さの椅子やベッドを選ぶ。
- つかまりやすいドアノブや手すりに交換する。
- よく使うものは手の届く場所に配置しる。
リハビリスタッフは、ご自宅の状況を評価し、具体的な改善策を提案することで、患者様の自立した生活を支援します。「住み慣れた自宅で暮らし続けたい」という思いに寄り添い、患者様の希望を聴きとりながら個別の対応ができることもリハビリ専門職である理学療法士や作業療法士の強みでもあります。住宅改修や環境設定についても、通り一遍でない提案ができますよ。
訪問看護は、あなたの「できる」を応援します
パーキンソン病と診断されても、ご自宅での生活をあきらめる必要はありません。パーキンソン病と向き合う毎日は、時に不安や戸惑いもあるかもしれません。訪問看護は、医療的なサポートだけでなく、リハビリテーションや日常生活のアドバイスを通じて、患者様とご家族が安心して生活できるようサポートします。
もし、ご自宅での療養やリハビリテーションについて不安なことがあれば、遠慮なく訪問看護ステーションにご相談ください。私たちは、あなたの「できる」を一緒に見つけ、支えていきます。今回ご紹介した対応はほんの一例でしかありません。実際に理学療法士や作業療法士が訪問して行うリハビリでは、患者様一人ひとりの希望や困りごと、その日の体調などに寄り添った、柔軟で個別のリハビリを提供します。
また、パーキンソン病は症状がゆっくりと進行する病気です。訪問看護師や理学療法士、作業療法士が定期的に訪問することで、症状の変化をいち早く捉え先取りした対応をすることで患者様やご家族の不安を軽減するサポートをします。
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