気になる膝の痛みー変形性膝関節症に効果的な運動

 「最近、膝が痛くて歩くのがつらい…」

もしかして、それは変形性膝関節症かもしれません。

変形性膝関節症は、加齢とともに膝の軟骨がすり減り、痛みが生じる病気です。特に高齢者の方によく見られます。

「年だから仕方ない…」

そう思っていませんか?

実は、適切な運動療法を行うことで、膝の痛みを和らげ、快適な生活を送ることができます。

変形性膝関節症とは

 変形性膝関節症は、加齢により関節の軟骨がすり減り、膝の痛みや変形、曲げ伸ばしがしにくくなる病気で、緩徐に進行します。膝の腫れ、膝が伸びにくくなる、内反変形(O脚)などの症状がみられますが、特に動き始めの痛みは歩きにくさにつながり、しばしば日常生活の障害となります。

 変形性膝関節症になると、膝の周りの筋肉が衰え、関節の動きが悪くなります。すると、ますます痛みが増し、日常生活にも支障が出てしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。

 しかし、運動療法を行うことで、筋肉を鍛え、関節の柔軟性を高めることができます。これにより、膝の安定性が増し、痛みが軽減されるという正のスパイラルが期待できます。

 ただし、膝の痛みの中には半月板損傷など外科的な治療によってしか治癒しないものもありますので、まずは受診して痛みの原因を知ることが大切です。

変形性膝関節症に効果的な運動とは?

 日本整形外科学会によるガイドラインでは、膝痛の軽減、身体機能改善、ADL改善には運動が効果的であるとして推奨されています。ガイドラインでは運動の時間・回数・期間について50~60分、週2~5回、8週間以上の運動が効果的であるとされています。

 また、減量は変形性膝関節症の膝痛軽減、身体機能改善に効果的です。特に減量に運動を組み合わせることで、運動のみの場合より効果的と言われています。ただし、減量によって骨密度が低下することがありますので、バランスの取れた食事を心がけ、カルシウムやビタミンDなど骨や筋肉を強くする栄養素を積極的に摂るようにしてください。

変形性膝関節症に効果的な運動は、大きく分けて二つあります。

  1. 筋力トレーニング:膝を支える筋肉(太ももの前側やお尻の筋肉)を鍛えることで、膝の安定性を高めます。
  2. 有酸素運動:ウォーキングや水泳など、軽い運動を続けることで、全身の血流を改善し、関節の柔軟性を高めます。

具体的な運動方法

 ご自宅で簡単にできる運動をいくつかご紹介します。

筋力トレーニング

大腿四頭筋の運動① 膝に座って膝伸ばし

  • 椅子に座り、片足をゆっくりと前に伸ばします。
  • 5秒ほどキープし、ゆっくりと足を下ろします。
  • 左右交互に10回繰り返します。

大腿四頭筋の運動② 壁につかまってスクワット

  • 壁に手をつき、足を肩幅に開きます。
  • 膝がつま先よりも前に出ないように、ゆっくりと腰を下ろします。
  • 無理のない範囲で、10回繰り返します。

ハムストリングスの運動 レッグカール

  • うつ伏せになり、両手を顔の前に着きます。
  • かかとをお尻に当てるイメージでゆっくりと膝を曲げます。
  • 無理のない範囲で、10~20回繰り返します。
  • トレーニングチューブを使うことで負荷を増やすこともできます。

内転筋群の運動 ブリッジ

  • 仰向けになり、バレーボール大の柔らかいボールを両膝で挟みます。
  • 膝を90度程度曲げます。
  • ゆっくりとお尻を上げて、ゆっくりお尻を下げます。
  • 5回繰り返します。

外転筋の運動 ヒップアブダクション

  • 横向きに寝て、上の手で体を支えます。
  • 上の足のつま先を正面に向けたまま、腰より少し上までゆっくり上げて5秒止め、ゆっくり戻します。
  • 左右を各10回ずつ繰り返します。
  • トレーニングチューブを使うことで負荷を増やすこともできます。

有酸素運動

ウォーキング

  • 膝に負担をかけず、手軽に行うことができます。
  • 無理のない距離から始め、徐々に距離を伸ばしていきましょう。

水中ウォーキング

  • 浮力により膝への負担が軽減されるため、痛みのある場合でも案して行うことができます。

エアロバイク

  • 膝に負担をかけずに長時間の運動が可能です。
  • サドルの高さを調整し、無理のない姿勢で行うようにしましょう。

その他の運動

ストレッチ

  • 運動前後のストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、ケガの予防に有効です。

バランストレーニング

  • バランスが向上すると膝関節の安定性を高めることができます。
  • バランストレーニングには、片脚立位や階段昇降などがあります。
  • 片脚立位は、はじめは壁や手すりにつかまりながら、慣れてきたら支えなしで行うようにします。
  • 左右10秒ずつ、各10回行います。

運動の注意点

  • 痛みを感じたらすぐに中止しましょう。
  • 無理のない範囲で、少しずつ運動量を増やしていきましょう。
  • 医師や理学療法士に相談し、自分に合った運動メニューを作成してもらうのもお薦めです。

さいごに

 変形性膝関節症は、適切な運動療法を行うことで、症状を改善することができます。効果が実感できるまでには少し時間がかかりますので、あきらめずに頑張りましょう!

 ストレッチや筋力トレーニングの方法については、過去の記事も参考にしてみてください。