もし親や配偶者に介護が必要になったら

 親や配偶者がある程度の年齢になると、骨折や脳卒中、あるいは認知症などにより日常生活に介護が必要となることがあります。そのような状態になったとき、もし介護保険を使いたいと思ったらどこに相談したらいいのでしょうか。

 この文章を読んでいる方の中にも、すでに40歳以上で毎月介護保険料を支払っている方がたくさんいらっしゃるかと思います。しかし、毎月給与からの天引きで介護保険料を支払っているにも関わらず、いざ介護保険を使いたいと思ったときどこに相談したらいいのか分からない方が多いのではないでしょうか。

 結論から言うと、介護保険の申請は市役所(当社23区の場合は区役所)で行います。では、具体的に手続きや必要書類など詳しく説明していきます。

初めての介護保険 どこで手続きしたらいい?

 初めて介護保険を使いたいと思ったときどこに手続きに行ったらいいのか。答えは市役所(東京23区の場合は区役所)です。介護保険の保険者(保険の運営主体)は市区町村ですので、手続きは市役所で行うことになります。市によって名称は変わりますが、高齢介護課などの名称の部署があると思いますのでそちらの申請をしてください。

 しかし、いきなり市役所に行っても落ち着いて相談はできないのではないかと考える方もいるかと思います。その場合は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターに行かれることをお勧めします。地域包括支援センターは、高齢者や介護サービスに関する相談を行う場として市が設置しているものです。また、実際に介護保険の申請をして認定結果が「要支援1」あるいは「要支援2」となった場合には、地域包括支援センターのケアマネージャーがケアプランを作成することになります。

 お住まいの場所の近くに地域包括支援センターがない、あるいはもっと身近なところで相談をしたいという場合はどうしたらいいでしょう。その場合は、ご近所に「○○ケアプランセンター」などの名前のついた事務所がないでしょうか。そういった居宅介護支援事業所で現在の生活環境や困り事などを相談する方法があります。認定結果が「要介護1~5」だった場合には、その介護支援事業所のケアマネージャーにケアプランを作成してもらうこともできます。

 最後に、介護認定の申請は本人や家族だけでなくケアマネージャーに代行してもらうことも可能ですので、申請にあたって不安のある方はケアマネージャーに相談してみてはいかがでしょう。入院中の場合は病院のソーシャルワーカーに相談するのがいいでしょう。また、ケアマネージャーさんのように直接申請の代行などはできませんが、当社でも無料でご相談をうけたまわることも可能です。どうぞお気軽にご相談ください。

介護申請の流れ

0歳以上になると誰でも介護保険に加入していますが、介護保険の被保険者(介護保険に加入している人)には以下の2種類があります。

  • 第1号被保険者:65歳以上の者
  • 第2号被保険者:医療保険に加入した40歳以上65歳未満の者

 第1号被保険者が要介護・要支援状態となった場合には無条件で介護サービスを受けることができます。しかし、第2号被保険者の場合は、16種類の「特定疾患」と診断された場合に限り介護サービスを受けることができるという違いがあります。

要介護認定の申請には以下のものが必要です。

  • 要支援・要介護認定申請書
  • 介護保険証

 さらに、介護保険の申請には主治医の意見書が必要となりますのでかかりつけ医にご相談ください。

認定結果を受け取ってからの流れ

 介護認定の結果は申請から30日以内に郵送で届きます。「認定通知書」と「被保険者証」を確認してださい。まず、認定通知書に書かれている要介護度区分を確認しましょう。「非該当」と認定されたり想定よりも低い介護度と認定されたりと、認定結果に不服がある場合には不服申し立てが可能です。認定結果を受け取った日の翌日から3か月以内に都道府県の「介護認定審査会」に申し立てを行ってください。

 介護保険の認定結果には有効期間があります。被保険者証で確認してください。新規の認定の場合は6か月になっていることが多いです。有効期間が過ぎてしまうと介護サービスを受けられなくなりますので、そうなる前に市役所または地域包括支援センターで更新手続きを行ってください。更新手続きには1か月かかりますので注意してください。また、有効期間内に心身状態が悪化し、より介護が必要となった場合には区分変更申請が可能です。申請を行い現在の状態にみあった介護度に変更してもらってください。

 介護認定で「要支援1・2」と認定されると「介護予防サービス」を受けることができます。地域包括支援センターのケアマネージャーに今後どのように生活していきたいのか、現在の生活での困り事などを相談しケアプランを作成してもらいましょう。

 「要介護1~5」と認定された場合には、まずケアマネージャーを選ぶ必要があります。市役所や地域包括支援センターで相談するとお住まいの地域の居宅支援事業所を教えてくれますので、その中から選ぶとよいでしょう。ケアマネージャーに介護サービス利用の要望や現在の生活での困り事を伝えケアプランを作成してもらいましょう。

 ケアプランが完成すると実際に介護サービスを提供する介護事業所と契約をすることになります。介護サービスの提供開始にあたっては、ケアマネジャー、関わるサービス責任者、本人、家族で集まりサービス担当者会議と呼ばれるサービス利用の事前打ち合わせを行います。その会議では、サービスについての要望や気になる点があれば遠慮なく伝えるようにしてください。

 最後に一つだけ。介護認定の結果は申請から原則30日以内に郵送されると述べましたが、この期間は自治体によって差はあるものの遅れる傾向にあります。認定調査により間違いなく要介護となると見込まれる場合にはケアマネージャーが暫定的にケアプランを組んでサービスを開始することがありますが、要介護認定されるか微妙な場合には認定結果が確定するまでサービスに入らない場合もあります。あるいは、要介護度を低めに予想してサービスを必要最低限のものだけに抑えることもあります。そのようなときに、少しでも早くリハビリを開始したいと希望される場合には、一度自費リハビリについてもご検討されてはいかがでしょう。

 長くなってしまいましたので、実際に介護度によって使うことのできるサービスについては次回に続きます。