まさかの脱水症を防ぐ!今日からできる水分チェック

「まさか自分が...」そう思っていませんか?

 こんにちは、皆さん。今日も穏やかな一日ですね。でも、油断は禁物。特に、ご自宅でゆっくり過ごされている高齢者の皆さんは、気がつかないうちに脱水症になってしまうことがあるんです。

「もう年だから、ちょっとくらい調子が悪くても仕方ないか...」なんて思わないでくださいね。脱水症は、適切な対策をすれば防げるものなんです。今日は、まさかの脱水症から身を守るために、今日からできる簡単な水分チェックと対策について、一緒にお話していきましょう。

なぜ高齢者は脱水症になりやすいの?

 若いころと比べて、私たちの身体は少しずつ変化していきます。それは、水分に関しても同じなんです。

  • 身体の中の水分量が減っている:赤ちゃんは身体の約80%が水分ですが、高齢になると約50%まで減ってしまいます。つまり、もともと水分が少ない状態なので、少しの水分不足でも脱水症になりやすいのです。
  • のどの渇きを感じにくい:「あれ?そういえば、今日まだ一度も水を飲んでいないな...」と感じにくいことがあります。これは、加齢とともにのどの渇きを感じるセンサーが鈍くなってしまうためです。
  • 暑さを感じにくい:暑さを感じにくくなると、「まだ大丈夫」と思ってしまい、水分補給がおろそかになりがちです。でも、身体は着実に水分を失っているんですよ。
  • 体温調節機能の低下:体温をうまく調節できなくなると、身体に熱がこもりやすくなります。汗をかいて水分を失っても、身体が気づきにくいことがあるんです。
  • 持病や飲んでいるお薬の影響:高血圧や糖尿病などの持病があったり、利尿作用のあるお薬を飲んでいたりすると、さらに脱水症のリスクが高まります。
  • 日常生活での活動量の低下:あまり動かないと、水分を摂るきっかけが少なくなりがちです。でも、座っているだけでも身体からは水分が失われているんですよ。

 これらの理由を知っておくことで、「もしかしたら、私も...」と少し意識が変わるかもしれませんね。

これが脱水症のサインかも?初期症状と見分け方

「なんだかいつもと違うな?」と感じたら、それは身体がSOSを出しているサインかもしれません。早めに気づいて、適切な対応をすることが大切です。

  • めまい、立ちくらみ:立ち上がったときにフワッとしたり、目が回ったりすることがあります。脳への血流が一時的に不足することで起こります。
  • 筋肉痛、こむら返り:足がつったり、筋肉がピクピクしたりすることも、脱水症の初期症状の一つです。
  • 大量の汗、または汗が出ない:暑いのに汗をかかない、逆にだらだらと異常に汗をかくのも、身体の水分バランスが崩れているサインです。
  • 倦怠感、吐き気:何となく身体がだるい、気持ちが悪いと感じることがあります。
  • 頭痛:ズキズキとした頭痛を感じることもあります。

 これらの症状に気づいたら、「もしかして脱水かも?」と少し気にしてみてください。ご家族の方も、これらのサインを見逃さないようにしてあげてくださいね。

脱水症の初期サイン 観察のポイント

  1. ツルゴール反応(皮膚の張り具合)をみる
    ・手の甲の皮膚を軽くつまみ上げ、数秒間保持します。
    ・パッと手を離したときに、皮膚がすぐに元に戻るかどうかを観察します。
    健康な状態:皮膚はすぐにピンと元に戻ります。
    脱水傾向:皮膚がゆっくりとしか戻らない、またはシワが残る場合は、体内の水分が不足している可能性があります。これは、皮膚の弾力性が失われているサインです。
  2. 口腔内の状態を観察する
    ・ご本人の舌や唇、口の中の状態を見てみましょう。
    健康な状態:舌や唇は湿っていて、唾液も適度にあります。
    脱水傾向:舌や唇が渇いていたり、舌に白っぽい苔のようなものがついていたり、唾液が少ないと感じる場合は、脱水が疑われます。口の中がネバネバすると感じる場合もあります。
  3. 排尿の回数と色をチェックする
    ・排尿の回数が普段より減っている、または尿の色が濃い黄色になっている場合は、体内の水分が不足しているサインです。
    ・健康な尿の色は、薄い黄色から麦わら色です。
  4. ブランチテスト
    ・手の爪の先を5秒間、指で強く押します。
    ・爪の色が白っぽく変化するのを確認したら、すぐに指を離します。
    ・爪の色がピンク色に戻るまでの時間を測ります。
    正常:2秒以内
    脱水傾向:3秒以上かかる場合は、末梢の循環が悪くなっている可能性があり、脱水が疑われます。

 これらのサインは、あくまでも脱水症の可能性を示すものです。自己判断せずに、気になる症状があれば、かかりつけ医や私たち訪問看護師にご相談ください。

今日からできる!日常生活での熱中症対策

 難しく考える必要はありません。今日からできる簡単な対策を、いくつかご紹介しますね。

こまめな水分補給 これが一番大切です!

  • 時間を決めて飲む:朝起きたとき、食事の前、入浴の前後、寝る前など、時間を決めてコップ一杯の水を飲む習慣をつけましょう。
  • 少量ずつ、回数を多く飲む:一度にたくさん飲むよりも、少しずつ何回も飲む方が、身体が吸収しやすいです。
  • 水やお茶だけでなく:水やお茶はもちろん、経口補水液やスポーツドリンクも上手に活用しましょう。特に汗をたくさんかいたときは、塩分も一緒に補給できるものがおすすめです。ただし、糖分の摂りすぎには注意してくださいね。

適切な室温管理 我慢せずに、エアコンや扇風機を上手に使いましょう。

  • エアコンは室温を確認しながら:一般的に28℃を目安と言われますが、お部屋の状況によってはそれでは暑い場合もあります。温度計で室温を確認しながら、適温となるように調整しましょう。

※ これは、認知症など関係なく高齢の方のお宅に訪問したときにあることなのですが、冷房をつけるつもりで暖房になっていることがあります。「エアコンをつけているのに涼しくならないな」と思ったら、まずエアコンが暖房になっていないか確認してください。

  • 扇風機は風を直接当てすぎないように:エアコンと併用すると、より効率的に室温を下げられます。
  • 日差しを遮る工夫:カーテンやブラインド、すだれなどを活用して、部屋に直接日光が入るのを防ぎましょう。

涼しい服装 服装にも気を配りましょう。

  • 吸湿性・通気性の良い素材を選ぶ:綿や麻など、汗を吸いやすく乾きやすい素材の服を選びましょう。
  • ゆったりとした服装を心がける:体を締め付けない、ゆったりとした服の方が熱がこもりにくいです。

無理のない範囲での活動 暑い時間帯の外出はできるだけ避けましょう。

  • 午前中の比較的涼しい時間帯に:用事がある場合は、暑くなる前に時間帯に済ませるようにしましょう。
  • 屋内でも適度な休憩を:家の中でも、無理せず休憩を挟みながら過ごしましょう。

 お出掛けの際など環境省のこちらのサイトが参考になります。

熱中症予防情報サイト:環境省が運営する、熱中症の予防と対策に関する情報を集めたウェブサイトです。暑さ指数(WBGT)の予測値や実況値や、熱中症警戒アラートの情報、熱中症予防のポイント、発症時の応急処置など、熱中症に関する様々な情報を提供しています。

食事からの水分補給 食べ物からも水分は摂れるんです。

  • 水分の多い食品を意識して:スイカやキュウリ、トマトなどの果物や野菜、みそ汁やスープなどの汁物も積極的に摂りましょう。

周囲の人の協力 ご家族やヘルパーさんなど、周りの人のサポートもとても大切です。

  • 声かけを積極的に:高齢者の方に、こまめに水分補給を促してあげてください。「お茶でもいかがです?」の一言が、脱水症予防につながります。
  • 体調の変化に気づいてあげる:いつもと違うと感じたら、声をかけてあげてください。

訪問看護だからこそできる熱中症対策のサポート

 私たち訪問看護師は、皆さんのご自宅での生活をサポートする中で、熱中症対策にも力を入れています。

  • 体調管理や水分補給のアドバイス:一人ひとりの状態に合わせて、適切な水分量やタイミング、飲み物の選び方などをアドバイスさせていただきます。
  • 室温管理や生活環境の整備に関する相談:エアコンの使い方や日差し対策など、快適に過ごせる環境づくりについて一緒に考えます。温度計を使った室温管理についても、丁寧にご説明します。
  • 脱水症状の早期発見と対応:訪問時に、脱水症状のサインがないか注意深く観察し、早期に対応します。
  • 必要に応じた医療機関との連携:脱水症状が疑われる場合は、速やかに医療機関と連携し、適切な処置につなげます。

 訪問看護サービスを利用することで、より専門的な熱中症対策のサポートを受けることができます。もし、ご不安なことや困っていることがあれば、いつでも私たちにご相談ください。

もしもの時のために...緊急時の対応

 万が一、熱中症が疑われる症状が出た場合の応急処置を知っておくことは、とても重要です。

  • 涼しい場所に移動:まずは、風通しの良い日陰やクーラーの効いた部屋など、涼しい場所に移動しましょう。
  • 身体を冷やす:濡れたタオルや保冷剤などで、首筋、脇の下、太ももの付け根など大きな血管の通っている場所を冷やしましょう。
  • 水分補給:意識があれば、経口補水液やスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給しましょう。
  • 医療機関への連絡の目安:意識がない、嘔吐している、自分で水分を摂れないなどの場合は、すぐに救急車を呼んでください。少しでも様子がおかしいと感じたら、ためらわずに医療機関に連絡しましょう。

「まさか」の事態に備えて、これらの対応を知っておくことが、ご自身と大切なご家族を守ることにつながります。

おわりに

 今日からできる水分チェックと対策、いかがでしたでしょうか?難しいことではありません。少しの意識と行動で、まさかの脱水症から身を守ることができます。

 私たち訪問看護師は、皆さんが安心してご自宅で過ごせるよう、これからも情報をお届けしていきます。何か不安なこと、困ったことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。皆さんの健康な毎日を心から願っています。