筋トレはダイエットに効果がある?
筋トレはダイエットに効果があるか?疑問に思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。結論から言うと筋トレはダイエットに効果があります。その理由は筋トレによって筋肉量が増え、その結果基礎代謝が上がるからと言われていますが、実はそれだけではありません。今回はそんなお話をしたいと思います。

有酸素運動と無酸素運動
運動中のエネルギー源は、運動の強度によって変わります。強度が低い運動、長時間の運動では体脂肪がエネルギー源として利用される比率が多くなります。このような運動では、運動中に遊離脂肪酸などからエネルギーを産生し、その過程で酸素を消費するため有酸素運動と呼ばれます。ウォーキングやジョギングなどがこれにあたります。
一方で、短時間で高強度の運動では糖質をエネルギー源として利用する比率が多くなります。このような運動では、酸素を消費せず糖質からエネルギーを産生するため無酸素運動と呼ばれます。短距離走や筋力トレーニングがこれにあたります。
つまり、有酸素運動では運動中に体脂肪を燃やすため、ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を長時間行うことがダイエットには効果的です。では、無酸素運動が脂肪燃焼に効果がないのかというとそういうことはありません。最近の研究では筋トレなどの無酸素運動では、運動後に体脂肪が燃焼しやすい状態が続くことが分かっています。一体どういうことなのか、これから解説していきます。
徐脂肪体重が1kg増えると基礎代謝はどのくらい増えるのか?
筋トレなどの運動後に体脂肪が燃焼しやすい状態が続くという話の前に徐脂肪体重(体重から体脂肪を除いた筋肉や骨、内臓などの総重量)が増えれば、基礎代謝がどのくらい上がるのかについてお話したいと思います。
まず、徐脂肪体重に占める筋肉の割合は、一般的に50%程度と言われています。筋肉1kgあたりののエネルギー代謝量は1日13kcalです。では、単純に筋トレによって筋肉が1kg増えると1日13kcalの基礎代謝量が増えるのかというとそういう訳ではありません。週2回の筋トレを3か月実施したところ、徐脂肪体重が約2kg増加し、基礎代謝量が約100kcalアップしたという研究があります。つまり、徐脂肪体重1kgの増加につき基礎代謝量が約50kcalアップしたことになります。これは、筋トレによって、自律神経系や内分泌系の働きが活性化するなどして、全身のエネルギー代謝が促進されたことによります。
では、1日あたり50kcalの基礎代謝量の増加はいったいどれくらいのダイエット効果があるのか考えてみましょう。1日あたり50kcalの基礎代謝量の増加は1か月(30日)では、約1,500kcal(体脂肪に換算すると約0.2kg)、1年では18,250kcal(同じく約2.5kg)になります。これは、1日たったの50kcalとは侮れませんね。
筋トレによって体脂肪が燃焼しやすい状態が続くとは?
体脂肪は、脂肪細胞の中に中性脂肪という形で蓄えられています。この中性脂肪は、そのままの形では運動のエネルギー源として利用することはできません。中性脂肪は脂肪分解作用を持つホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン、成長ホルモンなど)の働きで運動中に遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。そして、血中に放出された遊離脂肪酸が運動のエネルギー源として利用されることになるのです。
筋トレのような激しい運動を行うと、アドレナリンやノルアドレナリン、成長ホルモンの分泌量が増えます。そして、分泌されたこれらのホルモンによって脂肪細胞が分解され遊離脂肪酸となることで、運動後に体脂肪が燃焼しやすい状態が続くことになります。アドレナリンやノルアドレナリンの分泌は運動開始から1時間ほどで消失しますが、成長ホルモンによる脂肪分解作用は筋トレを終了してから約48時間続くとも言われています。
有酸素運動と組み合わせるとより効果アップ!
上述したように、筋トレを行うと成長ホルモンなどのホルモンにより遊離脂肪酸が血中に放出されます。そのタイミングで有酸素運動を行い、エネルギー源として遊離脂肪酸を燃焼することで効率よくダイエットができます。
筋トレで効果的にダイエットするには、無理のない程度の筋トレで身体の中でも比較的大きな筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス、下腿三頭筋、大殿筋など)を鍛えるのがよいでしょう。有酸素運動はややきついと感じる程度(軽く息が上がるが会話はできる程度)の運動を組み合わせてください。
前回の記事での触れたように筋トレの効果が現れるには、少なくとも1か月以上継続して行う必要があります。実際に効果を感じるのは3か月から6か月経ってからです。どうか気長に続けるようにしてください。また、いきなり筋トレを行うのではなく必ずストレッチなどのウォーミングアップを行ってから実施するようにしましょう。
食事制限の落とし穴
ダイエットするのに食事制限される方は多いと思います。しかし、食事制限のみのダイエットでは体脂肪だけでなく筋肉まで減ってしまいます。これでは、基礎代謝が下がってしまいリバウンドしやすくなってしまいます。ダイエット中の食事は、摂取カロリーや栄養バランスに気をつけることが大切です。摂取カロリーを減らすために脂質の摂取量を減らすこと、栄養バランスのために主食、主菜、副菜を意識して食べることを心がけてください。また、3食きちんと食べるようにしましょう。
最後にもう一つ、基礎代謝には季節変動があることをご存知でしょうか。外気温が低くなる冬には体温を上げるためのエネルギー量が増え、基礎代謝量が上がります。つまり、冬は基礎代謝が高く、やせやすい季節なのです。さっそく明日と言わず今から筋トレ始めてみませんか?
こんなことを言うと「お前はどうなんだ」というブーメランが飛んできそうなのですが、「槐より始めよ」実は私も今週から始めています。腹筋ローラーと30分ほどのウォーキングを行っているのですが、どれほどの効果が出るのか、乞うご期待です。