福祉用具―レンタルと購入

 介護保険で福祉用具のレンタルや購入費の支給を受けられることは皆さんご存じだと思います。でも、介護保険でレンタルできる福祉用具にはどんなものがあるのか、購入となる福祉用具はどんなものなのか、よく分からないという方が多いのではないでしょうか。

 今回は介護保険でレンタルとなる福祉用具、購入となる福祉用具についてまとめてみたいと思います。

レンタルとなる福祉用具の対象種目

 福祉用具の貸与は要支援1から可能です。ただし、車いすとその付属品、特殊寝台とその付属品、床ずれ防止装置、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトは要介護2から、自動排泄処理装置のうち排便機能を有するものは要介護4からレンタル可能となりますのでご注意ください。

 レンタルですので、利用者は毎月レンタル費の1~3割を負担することになります。毎月支払い続けるのはイヤだ、考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の状態がずっと続くわけではありません。加齢や疾患によって誰しもが身体能力が低下する可能性がありますし、反対にリハビリによって使用している歩行器などが不要となる可能性があります。そんなとき、レンタルであれば気軽に福祉用具を変更したり、いらなくなった福祉用具を返却したりすることができるというメリットがあるわけです。

購入となる福祉用具の対象種目

 福祉用具のうち主に排泄や入浴に関わって直接素肌に触れるものはレンタルでなはく購入となります。

なぜ一本杖はレンタルできないの?

 福祉用具のレンタルとなる対象種目の中に上の写真のような一本杖あるいはT字杖というタイプの杖が含まれていないのか疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。これは、まず福祉用具のレンタルは高齢者の費用負担を軽減する目的であるということがあります。つまり、このようなタイプの杖は比較的安価で入手できることから、給付の対象外になっています。

 また一般的に見かけるもので福祉用具のレンタルの対象となっていないものにシルバーカーというものがあります。

 似たような形状の歩行器と区別がつきにくいですが、これらには明確な違いがあります。それは、使う人が歩行が自立しているか、していないかという点です。

 シルバーカーは自分で歩ける高齢者がより安全に歩行するため補助として使うものです。上の写真を見ていただいて分かるように把手の部分が一直線になっており、体重をかけるとバランスを崩して転倒する恐れがあります。それに対して歩行器は把手が前方及び左右を囲む形状になっており、体重を支えながら歩くことができるようになっています。そのため、歩行器は下肢の筋力低下や痛みのために十分に体重を支持することができない場合に歩行を補助することができるわけです。歩行器にもいろいろな形状があり、両手や前腕で支えるタイプ、車輪がついているタイプ、四脚でささえるタイプなどがあります。使用者の歩行能力に合わせる必要がありますので、選定する際には福祉用具専門相談員や理学療法士などのアドバイスを受けてください。

 手すりや段差解消のためのスロープなど設置に工事を伴う場合は住宅改修することになります。この住宅改修にも介護保険から改修費の一部が支給されますが、様々な条件や手続きなどがありますので、次回は住宅改修についてお話したいと思います。