透析を受けている方でも~ご自宅でできる、やさしい運動~
こんにちは、アプスル訪問看護ステーションです。
今回は、透析されている方が、ご自宅で安心して無理なく取り組めるリハビリテーションについて少しお話します。透析を続けていると、疲れやすく感じたり、体を動かすのが億劫になることもあるかもしれません。
でも、ご自身のペースで体を動かすことは、体調を維持したり、毎日をより快適にすごすためにとても大切です。訪問看護だからこそできるサポートに加え、透析に伴う様々な症状への配慮や、リハビリのうれしい効果についても、ぜひ知っていただきたいと思います。

なぜ運動が良いの? ~体と心にうれしい変化~
透析を受けていると、どうしても体を動かす機会が減りがちですが、無理のない運動を続けることで、体も心も元気になれます。
- 体力がつく:家の中での動きが楽になります。
- 気分が明るくなる:外に出られなくても、体を動かすことでスッキリします。
- よく眠れる:夜ぐっすり眠れるようになることがあります。
- 血糖や脂質のバランスが整うことも:体の調子を整えるのに役立ちます(※主治医の指導を大切に)。
- 骨や筋肉が元気に:将来も自分の足で歩く力を保ちやすくなります。
- 貧血の改善を助けることも:適度な運動は、体が血液を作るのを助けることがあります。
- 骨が丈夫になる:骨がもろくなるのを防ぎ、骨折しにくくなります。
- 心臓や血管の健康維持:血圧を安定させ、心臓病などのリスクを減らすことに繋がります。
どんな運動をするの? ~無理なくできることから始めましょう~
訪問看護からのリハビリでは、あなたの体の状態に合わせて、看護師や理学療法士等が一緒に考えた運動をその日その日の体調に合わせて行います。
① 息が軽くはずむ運動(有酸素運動)
有酸素運動は、心臓や肺の働きを良くして、体力をつけるのに役立ちます。
- ゆっくり足踏み:立ってできる方は、その場でゆっくり足踏みをしましょう。壁やいすにつかまっても大丈夫です。
- 座って足踏み:いすに座ったまま、交互にゆっくり足を持ち上げて足踏みします。
- ゆっくりとしたウォーキング:体調が良い日には、家の中や庭先をゆっくり歩いてみましょう。
② 筋肉を少し使う運動(レジスタンス運動)
レジスタンス運動は、体の力を保ち、立ち上がったり、歩いたりするのを楽にするために大切です。
- いすに座ってもも上げ:いすに座ったまま、片方の太ももをゆっくり持ち上げてそのまま5秒保ち、ゆっくり下ろします。左右交互に行いましょう。
- いすに座って膝伸ばし:いすに座ったまま、片方の膝をゆっくり伸ばしそのまま5秒保ち、ゆっくり下ろします。左右交互に行いましょう。
- 手や腕の運動:いすに座ってグーパーや、腕をゆっくり上げ下げします。
- 寝たままできる運動:寝たまま足首をゆっくり曲げ伸ばししたり、膝を交互に曲げ伸ばししたりします。
- かかと上げ:立てる方は、壁に手をついて、かかとをゆっくり上げ下げします。
これらの運動はほんの一例です。あなたの体の状態や、その日の気分に合わせて、いろいろな運動を少しずつ試してみましょう。ここでは紹介していませんが、関節に負担のかからない水中運動もおすすめです。
いつ、どのくらい、どうやって? ~無理をしないことが大切~
- 運動の頻度:週に2~3回を目安に、無理なく続けられる回数で行いましょう。体調が良い日は少し増やしたり、疲れている日はお休みしたりと、柔軟に対応しましょう。
- 運動の時間:1回の運動は10分から20分くらいを目安に、無理のない範囲で行います。短い時間でも、続けることが大切です。もし疲れたら、途中で少し休憩を挟みながら行っても大丈夫です。
- 運動の強さ:運動の強さは、「軽く息がはずむ程度」が良いでしょう。楽すぎる運動では効果が出にくいですし、きつすぎる運動は体に負担をかけてしまいます。「これくらいの速さなら、なんとか会話ができる」と感じるくらいのペースが良いです。筋肉を使う運動では、「少し筋肉が疲れてきたな」と感じるくらいが目安です。
運動をする時間はいつが良いの?
運動をする時間は、透析をしていない日や、透析が終わってから少し休憩した後が良いです。透析直後は体が疲れやすいので避けるようにしましょう。また、食後すぐの運動も避けた方が良いです。食後1時間くらいを目安に、時間を空けてから行うようにしましょう。
午前中や日中の、体調が良いと感じる時間帯に行うのがおすすめです。ただし、暑すぎる時間帯は避けましょう。
透析中の方が気をつけたいポイント
- 透析後すぐは避ける:繰り返しになりますが、透析後すぐは体が疲れているので、ゆっくり休みましょう。
- 血圧に注意:めまいやふらつきがあったらすぐに休んでください。
- シャントの腕は守る:重いものを持ったり、強い力を入れたりしないように。
- 水分補給を忘れずに:こまめに、少しずつ水分を摂りましょう。
- 体調が悪いときは運動をお休み:無理せず、すぐにスタッフに知らせてください。
- 貧血に注意:透析をしている方は、腎機能の低下から貧血を合併していることが多いです。息切れしやすい場合は、無理のない軽い運動から始めましょう。
- 骨粗しょう症に注意:透析をしている方は、カルシウムの代謝異常により骨がもろくなりやすい状態です。転倒しなように、足元に気を付けて、安全な場所で運動しましょう。
- 心臓や血管に負担をかけないように:急に激しい運動はせず、ゆっくり体を慣らしていきましょう。
訪問看護だからこそできること
訪問看護では、その方だけのサポートができます。
- 事前にしっかり体の状態を確認:筋力や体の動き、合併症の状態などを丁寧にチェックします。
- あなた専用の運動メニュー:無理のない運動内容と量を、一人ひとりに合わせて設定します。
- 毎回の体調に合わせて調整:その日のコンディションに合わせて運動を変えられるのが、訪問看護の強みです。
- ご家族へのアドバイスも:ご家族も一緒に、安心してリハビリに取り組めるようにサポートします。
さいごに
透析をしていても、訪問看護のリハビリなら、体の状態や合併症に配慮しながら、安心して続けられる運動が見つかります。体を動かすことで、きっと笑顔で過ごせる時間が増えますよ。どんな小さなことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。私たち訪問看護のスタッフが、精一杯サポートいたします。