脱水症を防ぐには―どのくらい水分を摂ればいい?

 前回の記事では、まさかの脱水症を防ぐための日常的な対策についてお話しました。今回は、さらに一歩進んで、ご自身の体重や年齢から、より具体的に一日に必要な水分摂取量の目安を知る方法をお伝えしますね。

「私は一体、毎日どれくらいの水を飲めば安心なの?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、活動量やその日の気温によって必要な水分量は変わってきますが、ご自身の身体の状態に合わせた目安を知っておくことは、脱水症対策の第一歩となります。

体重から知る水分摂取量の目安

 体重を目安に水分摂取量を考える場合、一般的には以下の計算式が用いられます。

一日に必要な水分量(ml)=体重(kg)×30~40ml

 これはあくまでも目安であり、活動量や発汗量によって調整が必要です。

 例えば、体重50kgの方であれば、1日に必要な水分量の目安は、

  • 50kg×30ml=1,500ml(1.5リットル)
  • 50kg×40ml=2,000ml(2.0リットル)

となります。

 活動量の少ない方や、比較的涼しい環境で過ごされることが多い方は、体重1kgあたり30mlを目安とすると良いでしょう。一方、活動量の多い方や、汗をかきやすい方は、40mlを目安にするなど、ご自身の状況に合わせて調整してください。

年齢から知る水分摂取量の目安

 年齢を重ねると、体内の水分量が減少し、のどの渇きを感じにくくなるため、意識して水分を摂ることが大切です。年齢別の水分摂取量の目安としては、一般的に以下の数値が参考になります。

  • 65歳以上の方:体重(kg)×25ml

例えば、体重50kgで65歳以上の方の場合、1日に必要な水分量の目安は、

  • 50kg×25ml=1,250ml(1.25リットル)

となります。

 若い世代に比べると、必要な水分量の目安は少なくなりますが、これはあくまでも目安です。脱水症状をおこしやすい高齢者の方は、のどの渇きを感じる前に、こまめな水分補給を心がけることが何よりも重要です。

覚えておきたい大切なこと

  • 食事からの水分も忘れずに:飲み水だけでなく、食事に含まれる水分も大切な水分源です。味噌汁やスープ、果物や野菜など、水分を多く含む食品も意識して摂りましょう。夏場などは、汗をかくとミネラルも失われるので、できれば水だけでなくミネラルを多く含んだ麦茶などで水分補給するのもおすすめです。
  • こまめに、少しでも:一度に大量の水を飲むと、体に吸収されにくく、かえって負担になることがあります。時間を決めて、少量ずつ、こまめに水分補給することを心がけましょう。
  • のどの渇きを感じる前に:のどが渇いたと感じた時には、すでに身体は水分不足の状態です。そうなる前に、意識的に水分を摂るようにしましょう。
  • 体調や環境に合わせて調整:発熱時や下痢・嘔吐がある時、暑い日や運動をした後などは、通常よりも多くの水分が必要になります。ご自身の体調や環境に合わせて、水分摂取量を調整してください。
  • 持病や薬の影響も考慮:腎臓病や心臓病などの持病がある方や、利尿作用のある薬を服用している方は、水分摂取量について医師に相談することが大切です。

訪問看護からのアドバイス

 私たち訪問看護師は、皆さまの健康状態を把握し、それぞれの状態に合わせた水分補給のアドバイスをさせていただきます。ご自宅での生活で、水分補給について不安なことや疑問なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

 ご自身の体重や年齢を目安に、今日から水分摂取量を見直してみませんか?「まさか」の脱水症を防ぎ、これからも元気な毎日を送りましょう!